裏通りの辻精磁社

トンバイ塀の裏通りにある辻精磁社は、1668年に三代目が献上した器が時の天皇に賞賛され、日本で初めての皇室御用達の窯元としての歴史を築きました。

それから350年以上にわたり、宮中に磁器を納める「禁裏御用窯元」としての地位を守り続け、今上天皇御一家の食器も製作しています。

辻精磁社の作品は、透き通るような白磁と、天然の呉須を用いた澄んだ青が特徴です。
特に、八代目が1811年に考案した秘伝の製法「極真焼」は、製品と同質の磁土で作った容器(匣鉢:さや)を低い温度で溶ける釉薬で覆って焼成します。

それにより、容器内が真空になり、内側のガスの浸透・拡散を完全に遮断する結果、気品ある光沢と深みのある青が得られます。

この技法は今から40年前に十四代目によって復元され、現在も受け継がれています。
現在は、十五代目と十六代目が中心となり、職人たちと共に伝統と革新を融合させた作品づくりに取り組んで、一般のお客様向けの美術工芸品や食器も制作しています。

その器は、日常の食卓を彩るだけでなく、特別な場にもふさわしい芸術品として高く評価されています。(N.I)

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